東北大学大学院農学研究科修了後、大蔵省(現財務省)入省。大臣官房政策金融課課長補佐、在ドイツ大使館一等書記官、国際局開発政策課課長補佐等を歴任。この間、ドイツ留学。東北大学より博士(農学)取得。
2015年8月より京都大学経済研究所附属先端政策分析研究センター准教授。
これまでは主に農業政策の財政分析をテーマとしていたが、最近はこれに加えて、財務省との共同研究として、経済・財政の将来像を展望するために、中長期シミュレーションやマイクロデータを活用した分析を行っている。とりわけ、今後の社会保障の給付と負担のあり方や、所得再分配のあり方について研究を進めている。
日本の高齢化のスピードは先進国の中でもっとも速く、社会保障の給付と負担のあり方についての議論が避けられない。また同時に、日本は国際的にみても所得格差が大きく、相対的貧困率が上昇しており、所得再分配の議論も避けられない。こうした状況において、これからはとりわけ、社会の不安定要因を拡大させないためにも、経済的な価値だけに還元されない社会のあり方を展望することが大切ではなかいか考えている。
社会保障の給付と負担のあり方にせよ、所得再分配のあり方にせよ、エビデンスにもとづく議論が重要。例えば、社会保障の給付と負担のあり方を検討するためには、社会全体の中で、どのような人々がどの程度の給付を受け、負担しているのかを具体的なデータにもとづき確認することで、はじめて社会全体の受益・負担の構造とともに、その歪みも把握できる。こうした問題はナイーブなだけに、感覚的な議論ではなく、これからの社会を展望するためにも、エビデンスにもとづきながら、多面的な観点から深みのある議論につなげていけるような研究をしていければと考えている。
異分野であれば、視点や方法が異なることもあろうが、問題意識のベースは共通することもある。異分野との議論から、研究の幅が広がりをもつことを期待している。